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任天堂はスーパーマリオランでアプリに挑む

Nintendo

これまでに幾つかのメガモンスター級のゲームアプリが生まれてきたが、それらを見てきてもスーパーマリオランは異例中の異例だと言える。

これまでスマホゲームには否定的で携帯型ゲーム機に注力してきた任天堂の初めてのスマホゲームは同社が抱える多くのブランドの中でもおそらく最も有名で人気のスーパーマリオだった。

Appleの熱の入れようも今までになく高く、製品発表会で大々的に発表し、リリース前からAppleはリリースの通知予約を受け付けると2000万人が登録したという。アプリがリリースされてからは、Appleはおすすめ画面の全ページをスーパーマリオランに割くほどの猛プッシュで私の知る限り例を見ない。

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140の国と地域で1位を獲得

一つのアプリのリリースとは思えないほどのプロモーションの仕方だった。アメリカの人気テレビ番組「ザ・トゥナイト・ショー」ではスーパーマリオの生みの親であり、任天堂代表の宮本茂が出演し、司会のジミー・ファロンが初めてのスーパーマリオランをプレイしている。任天堂によれば150の国と地域でダウンロードが可能でそのうち、140で1位を獲得したという。

最初の4日間で4000万ダウンロードを達成し、アップストアの史上最速記録を打ち立てた。

また、最初の3日間(3700万DL)ではアメリカが1100万DLと最も多く、日本が750万、イギリスが150万と続く。売り上げでもアメリカが最も多く1400万ドルのうち800万ドルを占めており、日本が300万ドル、イギリスが60万ドルと続く。

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片手でもできるそんなシンプルさが人気の秘密

これまでの成功例に習い、徹底した簡素さ

Nintendo

これまでに成功したスマホゲームの最大の特徴は片手間でも出来るシンプルさだ。これまで携帯ゲーム機を遊んできた層からは「どうして、こんなゲームが人気なんだ?」と思うほど簡素なものも多い。(私もその一人だが。)

スーパーマリオランはその成功例に習い、「片手で遊ぶ、新しいマリオ」をコンセプトに作り上げられた。殆どの人が何の説明なくともゲームをクリアすることが可能だ。

基本、自動でマリオが右へ走る。

タップ:ジャンプ
ロング・タップ:ハイ・ジャンプ
ジャンプ+タップ:回転して浮遊

たったこれだけだ。覚えなくともやっているうちに出来るようになるに違いない。では、どこに人々は価値を見出すのか?それはより多くのコインを集めることだ。クリアこそ簡単なものの、すべてのコインを集めてクリアしようとするとその難しさが分かってくる。一時停止ブロックなどがよりゲームの面白さを広げている。

このように究極なまでのシンプルを追求しているのがスーパーマリオランだと言える。利用してみて一番驚いたのはこのようなシンプルなゲーム(というか多くのスマホゲーム)に必然的に存在するFacebookやTwitterへの共有ボタンが存在しないことだ。多くのゲームはそれによりユーザーが潜在的ユーザーにゲームの存在と面白さを伝える役割を果たし、バイラル式に利用者を拡大してきたものだが、スーパーマリオランはそういった要素を持たず閉鎖的だ。

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10ドルという少し高い心理的ハードル

スーパーマリオランではこれまでの多くのメガアプリのビジネスモデルである少額課金を踏襲せず、10ドル(日本では1200円)という買い切り型を導入している。私の知る限りこのビジネスモデルで成功したのはマインクラフトくらいだ。

この「価格」が低評価が多い最大の要因だが(12月22日時点で2.5)勢いは止まらない、史上最速で4000万ダウンロードを達成し、App Annieによれば3日間で17億円近くを稼ぎ出しという。実に100万人以上がこの課金したことになる。課金率は全体の4%前後だという。

任天堂・岩田社長が語る「DeNAとやりたいこと」

私は「フリー・ツー・スタート」と呼んでいるんですけれど、そのこと自体、以前から否定していません。

ただ、フリー・ツー・プレイというのは大多数の人がタダで遊んで、一部の方からたくさんの課金を得るという前提だと思いますが、無料で始められるけれども、その後、大多数の方が適切な対価を支払っていただく形のほうが、私は健全で長続きすると思っています。

Source:日経ビジネス

この買い切り型には亡くなった岩田聡社長の意志が反映されているのかもしれない。

だが、少額課金に慣れているティーンエイジャー(10代)からしたら、買い切りとはいえ一度に1200円を課金するのは心理的なハードルが高い。他の多くのアプリのように回復などに少額の課金をしてもらうほうが結果的にもたらす利益は大きく、尚且つ心理的なハードルも低い。

このやり方をやり通すのならスーパーマリオランの成功の可否がこれまで同じようなモデルを考えてきた開発者らにとっての試金石となるだろう。

アップデート:新たに友だちとプレイできるアップデートが加えられたが、新たなステージの投入などのアップデートをする予定は一切ないそうで、売り切り、アップデートはなし、というのはある意味、任天堂の姿勢はゲームソフトを売っているのとあまり変わらないのかもしれない。この旧来的なやり方を持ち込んだスーパーマリオランがどう転ぶのか注視してみる価値はあるだろう。