中東の2人の皇太子が大統領選でトランプ陣営に支援を提案した

Onebox News·

Reuters / Stephanie Keith

2016年アメリカ大統領選の3ヶ月前となる8月にトランプ陣営幹部でドナルド・トランプの長男であるドナルド・トランプ・ジュニアがトランプタワーでサウジアラビアのムハンマド皇太子とアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ皇太子の代理人(使者)として訪れた人物らと会合を行い両皇太子が大統領選でトランプを勝利させるための支援を行いたいとの提案を受けていたとニューヨーク・タイムズが伝えた。

ミュラー特別検察官はこれを受け捜査範囲を中東にまで拡大、ジョエル・ザメルの大統領選への関与について聴取を行なっている。

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なぜ重要なのか:この会合はロシア以外の国がアメリカ大統領選に介入しようとした可能性を示すものであり、外国の政府や個人がアメリカの選挙に干渉・介入を試みることは重大な違法行為です。そして、この物語には少なくとも2人の有力な中東の王子(皇太子)が関わっています。

その会合の中身:会合はトランプ政権で教育長官に任命されたベッツィ・デヴォスの弟でイラク戦争などで知られた民間軍事会社ブラックウォーターの創設者エリック・プリンスによって設定された。プリンスは2011年からUAEで民間軍事会社を設立し活動しておりアブダビ皇太子とはいくつものビジネスを行うなど深い関係にある。2016年8月3日に行われた会合にはUAEのアブダビ皇太子の最高顧問であるジョージ・ネーダーがアブダビ皇太子とサウジアラビアのムハンマド皇太子の代理人としてソーシャルメディアによる情報収集に長けたイスラエル人の専門家ジョエル・ザメルを帯同しトランプタワー内にあるトランプ・ジュニアのオフィスを訪れた。会議にはスティーブン・ミラー現大統領上級顧問も同席していた。会議開始から30分後に参加者全員で名刺の交換が行われた。ネーダーはUAEのアブダビ皇太子とサウジアラビアのムハンマド皇太子がトランプを選挙で勝利に導くための協力がしたいとの意向を示した上で、ソーシャルメディアを通じた世論操作・工作を行うための数百万ドル相当を支援すると述べた。

それからのこと:トランプ・ジュニアはこの提案に賛成の意思を示したが提案が実際に行動に移されたかは不明である。ネーダーはその後マイケル・フリン(最初の国家安全保障担当大統領補佐官)やスティーブ・バノン(元大統領首席戦略官)、ジャレッド・クシュナー(大統領上級顧問)などと面会している。ただ、ザメルの会社はトランプを押し上げるためのオンライン上での世論操作・工作を数千以上の偽のソーシャルアカウントを通じて行なっている。トランプ当選後にネーダーはザメルの会社に対して最大200万ドルを支払ったがこの支払いが会合に関連してのものかは定かでない。支払いを受けたザメルの会社ホワイトナイトはネーダーに対してトランプの勝利にはソーシャルメディアが重要であると説いた企画書を提出した会社である。

より多くのこと:ネーダーとトランプ陣営幹部らは選挙日の数週間前から政権移行期間中にかけて急速に接近した。この頃からネーダーはマナフォートが選対本部長を辞任した後にその職務を引き継いでいたクシュナーやフリン、バノンらと頻繁に会うようになっていた。ザメルとネーダーはトランプの大統領就任後にホワイトハウスを訪れトランプの娘婿で大統領上級顧問のジャレッド・クシュナーと当時首席戦略官を務めていたスティーブン・バノンと面会している。ネーダーは民間の工作業者を使いイランに対する経済的妨害を行う計画を提案していた。提案では欧米の企業がイランに投資するのを阻止する試みとイランの当局者間での不和・不信を煽るための工作活動が含まれており、ネーダーはアメリカやUAE、サウジアラビアの政府関係者に対して3億ドルの費用がかかるこのプロジェクトを売り込んでいた。

どう反応したか:トランプ・ジュニアの弁護士はNYタイムズに対し会合の存在を認めたものの、提案についてはトランプ・ジュニアは興味を示さず話はそこで終わったとコメントした。また、両皇太子側はコメントを拒否、ザメルは選挙への関与を否定、ネーダーは捜査への協力していると述べた。

もう一つの物語:ブラックウォーターの創業者であるプリンスとネーダーはイエメンにいるイランの代理勢力と戦闘を行う民間軍事部隊を創設するためにサウジアラビアに20億ドルを支払うよう説得する計画について議論していた。

再びロシアへと:しかし、ネーダーとザメルを紐解くとまたしてもロシアへとたどり着きます。ザメルの会社の1つはミュラー特別検察官から訴追されている元陣営幹部のポール・マナフォート前選対本部長と関係があり、プーチン大統領と密接に結びつくオレグ・デリパスカとドミトリー・リボロフレフを含む複数のロシア新興財閥の仕事を請け負っていたことがある。リボロフレフはかつてトランプから不動産を購入したこともある。また、ネーダーが大統領選中にアブダビ皇太子の代理人として秘密裏に2回に渡りモスクワを訪れ、アメリカ大統領選後にはアブダビ皇太子と共にインド洋のセーシェルでエリック・プリンスとプーチン大統領との間で会議が行われていたということは非常に興味深い出来事です。

過去を振り返る:トランプ政権は誕生以来サウジアラビアやアラブ首長国連邦と密接な関係にあります。彼の最初の外遊先はサウジアラビアであり、カタールと対立するサウジアラビアとアラブ首長国連邦の姿勢を強く支持している。

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