SoundCloudは生きるために7000万ドルを資金調達

ただ、融資での一時的な延命処置で問題解決未だ見えず

Onebox News·
SoundCloudは生きるために7000万ドルを資金調達
SoundCloud

以前、音楽ストリーミングサービスのSoundCloud(サウンドクラウド)が財政的な問題に直面していることを我々はお伝えした。(参考「サウンドクラウド、年内に資金不足に陥る可能性も」)未だ採算が取れない状況が続くどころかバーンレートが収入以上に拡大し続けるという状況にあった同社は生き残りのために「融資(債務)」という形で7000万ドル(約77億円)を調達していたことが分かった。

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今回新たにイギリスの登記局に提出された書類によるとサウンドクラウドは債務(融資)として5600万ポンド、7000万ドル(約77億円)余りの資金調達をしていたことが分かった。クレオス・キャピタルの第5債務ファンド、デイヴィットソン・テクノロジー成長債務基金、アレス・キャピタルなどが引受人となっている。締結日は2017年3月10日。

同社は昨年の6月にもツイッター社の投資部門ツイッター・ベンチャーズなどから同じく7000万ドル(約77億円)を調達している。サウンドクラウドはこれまで一貫して赤字だ。イギリスの登記局に提出された書類によると最新の2015年では売上高2110万ユーロ(約26億円)、純損失は5122万ユーロ(約63億円)と厳しい状況だ。2014年には20億円弱とみられていた売り上げは6億円ほど伸びているが、損失はそれ以上で17億円以上も拡大している。サウンドクラウドが収入をあげるために推している有料サービス「サウンドクラウド・ゴー」は思った以上に伸びていないというのが現状だ。

だが、「サウンドクラウド・ゴー」の成功の是非が同社の運命を握っているのは登記局に出された書類からも明らかだ。アレキサンダー・ユングCEOは提出された書類の中で

新しい定額制サービス(SoundCloud Go)の成功は、今後3年間の財務予想の重要な要素となる。(この成功の可否が)グループの業績およびキャッシュフローに関する重大な財務リスクを負っている。

と語っている。そして、最悪のケースとして2017年内に資金がショートする可能性にも言及していた。身売りも検討されていたが現時点ではその交渉は既に「破綻状態」だという。とりあえず今回の融資で首の皮一枚繋がった形だ。

だが、あくまでこれはサウンドクラウドが黒字化し自分で生きれるようになるかあるいはサウンドクラウド・ゴーを成功に導き次の資金調達に繋げるまでのものでしかない。下記の図を見る通り状況は悪化している。(もちろん、全く救いがないわけではないが。)

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Music Business Worldwide / 表記を日本語に修正している。単位は100万ユーロ。

おそらく今回の資金も同社のバーンレートの速さから考えるもちろん収入の拡大などは考えられるが最大でも1年から1年半と言ったところだろう。試算によると今年のサウンドクラウドの売り上げは5000万ドルを超えている可能性がある。ただ、それだけでは同社の現在の価値を正当化するには十分ではないし、何より支出がそれ以上に拡大している可能性だって否めない。

そして、サウンドクラウドのリーダーシップも不安定だ。同社が財政問題とビジネスとしての重大な欠陥を抱えているという状況の中で先月にはサウンドクラウドのCOO(最高執行責任者)のマーク・ストリゲル(2011年入社)と財務責任者のマルクス・ハーダー(2012年入社)が会社を去った。

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ただ、今回の融資による資金調達はあくまで一時的な延命処置でしかない。サウンドクラウドは根本的な問題である「収入が支出の増加に追いつけない」という同社の存続にも関わる最大の問題の解決への道筋を未だ見せることが出来ていない(あるいは無い)というのが現状だ。サウンドクラウドには時間が無い。そして、わずかに与えられた時間の中で彼らは生きる手立てを見つける必要がある。そうでなければ彼らはこのゲームの敗者として去ることとなるだろう。(もう時期的には音楽ストリーミングの勝者が決してもおかしくない頃だ。)

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重要な点

  • 融資で7000万ドルを調達:クレオス・キャピタル、デイヴィットソン・テクノロジー、アレス・キャピタルなどが引受人となっている。締結日は2017年3月10日。
  • 未だ赤字:サウンドクラウドはこれまで一貫して赤字だ。最新の2015年では売上高26億円、純損失は63億円と厳しい状況。2014年には20億円弱とみられていた売り上げは1年で6億円ほど伸びているが、損失はそれ以上で17億円以上も拡大している。
  • サウンドクラウドGoは『成功ではない』:失敗とまでは断言できないがしかし、少なくとも定額配信サービスのGoが成功していないのは確かだ。同社は以前、同サービスが損失をカバー出来ない場合には確定していない資金調達を進める必要に迫られると言及している。
  • 不安定なリーダーシップ:財政問題とビジネスとしての重大な欠陥を抱えているという状況の中で先月にはCOOのマーク・ストリゲルと財務責任者のマルクス・ハーダーが会社を去っている。
  • あくまで延命措置:会社が成長し、さらにその勢いや規模を追求させる。そんなポジティブな資金調達ではない。今回の調達は同社が言及した「損失をカバー出来るだけの収入が生まれない場合」という状況になったから行われたものだ。

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