ルパート・マードック、セラノス株を1ドルで売却へ

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Theranos

不死のメディア王ルパート・マードックが騒動の渦中にいる血液検査スタートアップ、セラノスの株式1億2500万ドル相当(約138億円)をセラノス側に対してわずか1ドルで売却したことが明らかになった。

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米ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ紙)によると詳しい筋からの情報として血液検査スタートアップのセラノスが株主の一人であるルパート・マードックが保有していたセラノス株1億2500万ドル相当(約138億円)を1ドルで買い戻した事が分かった。ただ、現在のセラノスの状況(参考「セラノス、アリゾナ研究所も免許停止ーセラノス問題は新たな局面へ、2つ目の研究所も免許停止」)を見て分かる通りセラノス株にこれだけの価値はないというのが現時点での共通の判断だと考えている。同社は既に血液検査事業から実験装置の開発に軸を移す事も明らかになっている。

WSJ紙は今回の株式の売却によりマードックはこれを損失として償却し数百万ドルに及ぶ節税効果の恩恵を受ける事が出来るとしている。(もちろんセラノスの事業の破綻的状態はその恩恵と比べると全然物足りないものだが。)

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ただ一つ注意していただきたいのが、ウォール・ストリート・ジャーナルはルパート・マードックが会長を務めるニューズ・コーポレーションの傘下であるという点だ。マードックは1979年から2015年までは最高経営責任者も兼務していた。ウォール・ストリート・ジャーナルはマードック率いるニューズがウォール・ストリート・ジャーナルの親会社であるダウ・ジョーンズを買収して、以降から社説は保守的になり始めた。ただし基本的には記事については現在も比較的干渉は少ないと見られ、あくまで保守的なのは社説や特集など限定的であると考えられる。(が、もちろん全くマードックの意思が入り込む余地がないというわけでない。)

今回のセラノスの一連の騒動はウォール・ストリート・ジャーナルの記者が掲載した1つの記事から始まったのは間違いない事実だ。(つまり、編集部には一定の独立性が保たれていると言えるかもしれない。)セラノスの重大な問題を告発し、当時輝かしいスタートアップとして謳歌していたセラノスの真の顔を明らかにした。(問題に関する詳細は「セラノス、アリゾナ研究所も免許停止ーセラノス問題は新たな局面へ、2つ目の研究所も免許停止」で確認してほしい。)

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今回、セラノスは株式の分配でもって訴訟のリスクを避けようと目論んでいる。既に取締役会で承認されたこの目論見は、既存の株主らが「セラノスを訴えない。」という約束を結んだ場合に、セラノスの創業者兼CEOのエリザベス・ホームズが保有する株式を分配するというものだ。これによりホームズは会社の支配権を失うが、訴訟という最悪のリスクを回避できるものと考えている。

マードックはその中で今回の提案を拒み、売却する事を選んだ。セラノスはかつて1億2500万ドル相当の価値を持った(今はほぼ無価値の)株式を1ドルで買い戻した。また、サンフランシスコに拠点を置くヘッジファンド、パートナー・ファンド・マネジメント社も提案を拒否した。(同社は既にセラノスに対して訴訟を起こしている。)セラノスは現在、他にも株主でありセラノスのラボを店内に設置するというパートナー関係であった(2016年6月に破棄)大手ドラッグストアチェーン「ウォルグリーン」との訴訟の危機にも直面している。

ワンボックス・ニュースはセラノスとルパート・マードックに(ニューズ社を通じて)コメントを求めたがいずれも拒否した。

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