トランプ大統領上級顧問、架空の虐殺を報じなかったメディアを批判

Onebox News·

Joshua Roberts / Reuters

伝えなかったもなにも無かったのだから伝えようがない。ファンタジー小説を書いている訳ではないのだから。

ケリーアン・コンウェイは「オルナタティブ・ファクト(もう一つの事実)」というトランプ政権を表す上で重要な詞的表現を生み出した詩人だ、ではなく一応ファンタジー小説ではないので事実を申し上げると彼女はトランプ大統領の上級顧問という重要人物だ。そんな彼女は今度は「存在しない」虐殺を報じなかったメディアを批判した。(彼女の話は彼女が書いているチープなファンタジー小説の中の話であると信じたいが。)

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2月3日の夜に米MSNBCのインタビューに登場したケリーアン・コンウェイはドナルド・トランプ大統領が発した「中東7ヶ国からの入国制限」の大統領令が必要不可欠のものであると主張。(この大統領令は現在、ワシントン連邦地裁が全米での効力を即時停止する仮処分を下している、直後にトランプ政権はこれを不服として申し立てたが、即座に控訴裁によって退けられた。)

その中で彼女は「メディアはボウリング・グリーン虐殺を伝えなかった」と【実際には起きていない】虐殺を作り上げ、そのファンタジーの出来事を報じなかったメディアを強く批判した。この発言は即座にソーシャルメディアを通じて拡散し「2月30日に起きなかったあの虐殺を決して忘れない」などと皮肉られ、各地のデモなどでも「ボウリング・グリーンを忘れない」などといったプラカードが姿を表した。

彼女はインタビューの放送後に「言い間違えだ。」とツイートし、そのまま何故か今度は自分を批判する人々とメディアの批判を展開し始めた。(因みに彼女はこのインタビューは多くの人々からの賞賛を受けていると主張している。)

ケリーアン・コンウェイは1月の大統領就任式で観衆の人数に関するスパイサー大統領報道官の「史上最大」という発言が客観的事実と異なるとNBCニュース番組内で問いただされ、「あれはオルタナティブ・ファクト(もう一つの事実)」だと述べた人物として知られ、彼女のこの言葉は大きな反響を呼び、全体主義国家が支配する未来を描いたジョージ・オーウェルが1949年に発表した小説「1984」がベストセラーになった。(作中には事実を上書き、改竄する真理省という機関が登場し、あらゆる事実を塗り替える。)

これを彼女が書いているであろうファンタジー小説の話をしているのか、あるいは映画の撮影をしているつもりなのか、はたまた彼女がファンタジーの中で生きる人なのかは知らないが少なくとも彼女は「存在しない事実」を持ち出し、その「存在しない事実」を報じなかったメディアを批判したのは紛れもない事実だ。(ここにもう一つの事実が入りいる余地はない。)

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SOUSA & MACHADO W / E.RODGERS

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このトランプ大統領の中東7ヶ国に対する入国制限の大統領令は各地で混乱を引き起こしており、5歳の子どもが一時拘束されたり、ノルウェーのボンデビック元首相が過去に人権問題の会議でイランを訪れたという事から拘束・尋問を受けるなどの事態が起きていた。トランプ大統領は申し立て棄却に対して「これから起きる事の責任はあの判事と司法システムにある!」と司法の独立を脅かす圧力ともとれる発言をし(もちろん彼の住処であるTwitterから)、民主党だけでなく共和党内からも批判を浴びているが彼は自身が絶対的な正義であると「おそらく」信じてやまない。

そして、これはいち早く「自分を支持した者たち」に成果を見せたいトランプ大統領にとって、大統領として初めての目に見える失敗と言えるだろう。

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