IPO間近スナップチャットの売上高、損失、成長率

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久しぶりの巨大IPOであり、今年最初のテック企業のIPOになるであろうスナップチャットはその準備に向けて幾つかの資料を公開してきた。今回はその公開資料からスナップチャットの2016年時点での売上高から損失、サービスの成長率などの現状を把握すると共に、秘密主義により包まれたカーテンの内側で同社が考えてきたこと、目指している場所など未来を紐解いていきたいと思う。

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売上高は454億円、577億円の赤字

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確かにまだ黒字化できてないとはいえ、ビジネスの面では目まぐるしい成長を遂げていると言えるだろう。スナップチャットはこれまで2016年の売り上げを3億5000万ドル(約393億円)、2017年の売り上げを10億ドル(約1128億円)になるだろうと予測していたが、実際には昨年の売り上げは5000万ドル(約56億円)以上を上積みし4億ドル(約454億円)に達したという。損失も少なくなく2016年は9億2500万ドル(約1038億円)の費用を支出し、最終的には5億1464万ドル(約577億円)の赤字となっている。

だが、2015年の売り上げがわずか5900万ドル(約66億円)だったことは考えれば6倍以上の増加だ。特に昨年はヨーロッパに国際拠点を新たに設けるなどしてヨーロッパからの売り上げの大幅な増加が考えられる。しかし、留意しないといけないのは売り上げは好調なのだが喫緊のQ3とQ4では明らかな翳(かげ)りが見えている。

そして、同社は研究に最も多くの投資している。2015年に8200万ドル、2016年には1億8400万ドルを研究に投じている。また、財務における一つの注目点は同社のサーバー費についてだ。同社は現在グーグルのクラウドサービスを利用しているが今後5年間でその利用料として20億ドル(約2263億円)になるという。自前のデータセンターを持たない同社にはこの費用がユーザーの増加に伴ってより重くビジネスとしての成長にのしかかってくる。

また、同社は2015年の末から2016年末までの1年間に従業員は3倍以上に増加し、末時点で1859名を抱えるまでになっている。現在のフリーキャッシュフローは昨年12月末の時点で6億7770万ドル(約758億円)ほど。今回のIPOでさらなる資金を市場から集めたいと考えている。

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DAUは1億5800万人、成長は既に鈍化

資料によると現在のスナップチャットのDAU(デイリー・アクティヴ・ユーザー)は1億5800万人に登るとされ、フェイスブックの18億6000万人、ワッツアップの12億人、フェイスブック・メッセンジャーの10億人、インスタグラムの6億人と比べればやはりまだ見劣りする。かつてスナップチャットの買収を試み失敗したフェイスブックは同社のキラーサービスのインスタグラムを通じてスナップチャットと競争している。

最近、インスタグラムはスナップチャットを模倣した「インスタグラム・ストーリー」と呼ばれる機能を登場させた。(これが模倣したものであることは同社CEOケビン・シストロムも認めている。)2016年の8月の登場からまだ間もないこの機能は既に高い人気を博しており毎日1億5000万人がこの機能を利用しているとされ、スナップチャットと大きく差を詰めており、スナップチャットの成長鈍化の要因の一つであることは間違いない。(8月のリリース以降は成長率は1ケタ前半にまで落ちている。)

成長率は徐々に低下しており2016年のQ4では3.2%と大幅に鈍化している。短期的にこの影響が同社のビジネスに現れるとは考えにくいが、しかし、まだまだ多くの成長の余地があると思われるためには成長を続けていかないといけない。今後もこの鈍化が続くのであればスナップチャットにこれ以上の成長の余地がないことを証明することとなり、長期的に同社の価値そのものを揺るがしかねない。同社にはもう一つの実験的プロダクト・スペクタクレスがあるが現時点では事業に影響を与えるほどではなく、やはりスナップチャットを再び成長軌道に乗せより多くのユーザーを迎え入れ続けることが同社の最大の課題であることは間違いない。(ただ同社の1億5800万人のDAUの内、6900万が北米で、5000万がヨーロッパだ。特にアジアなどでは存在感を示せていないことから、まだまだ成長できる余地はあると思う。)

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スナップチャットは2011年に現れ、2012年の設立から5年で目まぐるしい成長を遂げてきた。そして、アリババ以来の大型IPOとなる。売り上げも成長しているといえるがやはり現時点では不安要素が大きいのも事実だ。それは赤字が大きいわけでも、サーバー代が重荷になっていることでもなく、ただ一つ「サービスの成長に翳りが見える」ということだ。

どんなに赤字を出していてもサービスが高い成長率を示すことが出来ればビジネスは後からでも十分追いついてくるし、同社は二つの事業を営んでいるがもう片方のスペクタクレスがスナップチャットの時価総額に占める価値というのはほぼないといっても過言ではない。スナップチャットというサービスの価値が会社の価値を支えているのだ。競合のインスタグラムがそのパイを食べていく中、同社は再び競争に打ち勝ち、サービスを成長軌道に載せる必要がある。そうすればより多くの広告主が集まり、最も優れた出稿先となり得る。

まだ、同社のサービスはまだ「ヤングの為のサービス」だ。これ以上の成長を望むのなら、より多くの層を受け入れ多様性を持つサービスでなければならない。そう、大学のプロフィールを集めることから始まったフェイスブックのように。同社は2017年3月ティッカーシンボル「SNAP」でニューヨーク証券取引所に登場する。

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